タツノオトシゴのオスの腹部には育児嚢(いくじのう)という袋があり、ここでメスが産んだ卵と稚魚を保護する。タツノオトシゴの体表は凹凸があるが、育児嚢の表面はなめらかな皮膚におおわれ、外見からも判別できる。そのためこれがタツノオトシゴのオスメスを判別する手がかりとなる。
繁殖期は春から秋にかけてで、メスは輸卵管をオスの育児嚢に差しこみ、育児嚢の中に産卵する。産卵するのはあくまでメスだが、育児嚢への産卵が終わったオスは腹部が膨れ、ちょうど妊娠したような外見となる。このため「オスが妊娠する」という表現を使われることがある。
種類や環境などにもよるが、卵がふ化するには10日-1ヶ月半ほど、ふつうは2-3週間ほどかかる。稚魚はふ化後もしばらくは育児嚢内ですごす。
"出産"する時は、オスは尾で海藻などに体を固定し、体を震わせながら稚魚を産出する。稚魚は小さいながらもすでに親とほぼ同じ体型をしており、海藻に尾を巻きつけるなど親と同じ行動をおこなう。